「訴え提起前の和解」手続の流れ
「訴え提起前の和解」手続の流れについてご説明します。
1 当事者間の合意
当事者間で生じた民事上の争いについて,話し合いにより合意に達します。通常は当事者間で合意内容について合意書を作成します。「訴え提起前の和解」手続を採ることについても合意しておきます。
2 申立て
当事者の一方が,当事者間の争いの内容や合意の内容を記載した申立書,当事者目録,物件目録,和解条項案等を作成し必要書類とともに簡易裁判所へ申立てを行います。相手方の住所又は主たる営業所の所在地を管轄する簡易裁判所に申立てを行うのが原則ですが,当事者間で事前に管轄の合意があれば合意した簡易裁判所に申立てることもできます。申立手数料は原則1件につき2,000円です。
3 申立て書類の審査
裁判所が申立て書類(主に和解条項案)について審査を行います。和解条項について多少の修正指示が入ることが多いでしょう。
4 期日の調整と相手方への書類の送付
期日は一度だけですので,当事者双方が出頭できる日時を事前に調整します。裁判所から複数の候補日時が提示されることもあります。
期日が決まりましたら,裁判所が相手方へ期日呼出状や申立て書類の写し等を送付します。
5 クリーンコピーの提出
4と前後して,裁判所へ和解調書正本に使用される和解条項や目録のクリーンコピーを必要部数提出します。これらはそのまま和解調書正本に使用されますので,ページ番号は付しません。
6 期日に出頭
期日当日,裁判所に当事者が出頭します。弁護士ではなく当事者が出頭する場合は,本人確認資料(免許証など)を持参する必要があります。法人の従業員が出頭する場合は,代理人資格を確認するために事前に提出すべき書類がありますので注意が必要です。
当事者双方が揃い,本人確認が済みましたら,裁判官が和解条項等を読み上げ和解内容に誤りがないか等確認をします。問題がなければ和解条項等に記載のとおりの内容で和解成立です。
和解調書は和解成立後すぐに正本が作成され,当事者に交付されます。和解調書正本は,万一の時に債務名義をなりますので,大切に保管しましょう。
なお,裁判所によりますが,通常は申立てから期日まで最低でも3週間~1ヶ月程度が見込まれます。建物明渡日や金銭支払日が迫っている場合は書類に不備・不足がないよう注意して早急に申立をすべきでしょう。