消費者契約法における「勧誘」の意味

2017-02-12

平成29年1月24日、最高裁が、消費者契約法に定める「勧誘」の意味について、初めての判断を示しました。実務運用はもとおり、今後の消費者契約法の改正にも影響を与える可能性がありますので、今回はこの判決を見ていきたいと思います。

まず、消費者契約法4条1項は次のとおり定めています。

「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

①重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

②物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認」

この裁判では、広告が、消費者契約法に定める「勧誘」に該当するかが争われました。
最高裁は、消費者契約法が、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を図ること等を目的として(1条)、勧誘に際して重要事項について事実と異なることを告げるなどの一定の行為をした場合に、契約を取り消すことができるものとしている旨述べた上で、新聞広告等により不特定多数の消費者に向けて働きかけを行うときは、当該働きかけが個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得るから、広告のように、「事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても、そのことから直ちにその働きかけが『勧誘』に当たらないということはできない」としました。

消費者契約法は、高齢化の更なる進展を始めとした社会経済情勢の変化に適切に対応すること等を背景として、平成28年5月に改正され、6月に改正消費者契約法が公布されています。

この消費者契約法の改正にあたっては、「勧誘」の要件に広告一般を含めるかどうかについても議論されましたが、広告関連団体が反対を表明し、専門調査会の委員の間でも合意に至らなかったことから、平成28年6月に公布された改正消契法には盛り込まれず、2~3年以内に結論を出す積み残し課題とされていました。しかしながら、第2次改正に向けた議論の中で、広告規制を巡る「勧誘要件の在り方」が優先的に取り組むべき課題として挙げられていますので、最高裁が「広告も『勧誘』に当たりうる」としたことで、今後の議論の行方が注目されます。